娘がとても面白かったとすすめてくるので、見たアニメ「チ。」
とても面白かったです。夢中になってNetflixで3~4日ほどで一気見してしまいました。
タイトルの通り、地球の地動説のお話。
舞台は15世紀のヨーロッパ、天動説が当たり前で権威ある教会にたてつくことなどできない時代、知的好奇心から地道説に行きつく「異端者」たち。彼らが命がけで地動説を信じ研究を後世へ繋いでいくお話です。
地動説といえば「コペルニクス」、最終的にはそこへ話が行くんだろうと見ていましたが、最終章はもうひとひねりあって本当に面白かった。
後世の私たちは、当時の「異端者」たちが迫害され火刑に処せられたことなど知っているので、そうかと思ったらやはりそうなった、最初から拷問のシーン。「これは、私の苦手なタイプの話だーー」とちょっと引いたんですが、そういうシーンはそこまで多くなく途中カットもされているので大丈夫でした。(というか、実際はそこまでの迫害はされていなかったみたい?そこは初めて知りました。)とても深くて見ごたえのあるアニメ、おすすめです。
でも、最終章でちょっと混乱したのは私だけではないはず。
人それぞれで見方、見解が異なる?
ネタバレ含む全体的な感想の前に、個人的に大いに共感した言葉を。
文字の読めないオクジーに「文字が読めるってどういう感じですか」と聞かれたヨレンタの言葉です。
「文字はまるで奇跡ですよ。
あれが使えると場所と時間を超越できる。
200年前の情報に涙が流れることも、1000年前のうわさ話で笑うこともある。そんなの信じられますか?
私たちの人生はどうしようもなくこの時代に閉じ込められている。だけど、文字を読むときだけは、かつていた偉人たちが私に向かって口を開いてくれる。
その一瞬、この時代から抜け出せる。文字になった思考はこの世に残って、未来のだれかを動かすことだってある。」
15世紀のように閉じ込められている感はない、情報はいくらでも、の時代に生きている私ですが、それでもインターネットが広まったとき、ここまで壮大ではないにしても、同じようなことを思いました。今でもそうです。本はもちろんのこと、ブログだってそう。自分には縁のないところにいる、年代性別様々な誰かの今日の思いを知って一緒に笑ったり感動したり。
私の拙いブログも100年後に誰かがたまたま読んでくれておもしろいと思ってくれたりすることもあるのかもしれない?(笑)
ここからはネタバレになるので、アニメを見てみようと思っている方はご注意ください。
最終章で混乱したのは、1章のラファウがまた出てきて(名前、顔、生い立ち、知的なところまでが同じなので同一人物かと思ってしまった)、1章へ話が戻って終わるのか?と思ったから。
でも、ラファウの年齢も国も違う。そこはもう深く考えず顔の似ている同じ名前の人だと理解した(違う?( ;∀;))
アント二司教の言葉「君らは歴史の登場人物ではない」
1章のラファウの言葉「後世の人達から見れば、今いる僕らはみんな同じく15世紀の人だ」
最終章までの1章から3章までは、歴史に名前の残らなかった人たちのお話ということか。フィクションだけど、こういう人たちはいたかもしれない、いや、いたに違いない、と思いました。
主人公たち、ラファウ、オクジー、バデーニ、ヨレンタ、ドゥラカ、命がけで地動説を繋ごうとした人たちは、誰もその後誰かが繋いでくれたかどうかはわからないまま死んでいった。それどころか、本の出版もできなかった。彼らの研究も残っていない。繋いでいったものがここで切れてしまった。でも、それぞれの年代、どこかで、こういう人たちはいたに違いない。切れても切れても次々に現れたんだろう。ラファウの言葉、「敵=『人間の知的好奇心』は手強い」から。
最終章の主人公アルベルト。
彼だけは実在の人物でコペルニクスは彼の教え子。
3章までの登場人物とのつながりは、まだ大学生のアルベルトが歩きながらたまたま耳にするたった一言だけ、「地球の運動について」そこで完。
その一言は、完全にフィクションですが、個人的にはとてもよくできていると、「この一言はのちに天文学の教授となるアルベルトに少しでも影響を与えたかな、そんなことだってあったかもしれない。それがコペルニクスに繋がるということも。」と思いながら見終わりました。面白かったです。