図書館でやっと順番が回ってきて読めました、今野敏さんの隠蔽操作シリーズの9、「探花」

探花

このシリーズの「9」ですが途中に3の次に「3.5」とか5の次に「5.5」などがありますので実際はもっとあります。どれもハズレなし、本当に面白くて大好きなシリーズです。

警察小説ですが、主人公竜崎伸也は警察庁の官僚。警察庁長官官房の総務課長から始まって、いろいろあって左遷されたり返り咲いたりしますが、キャリアはキャリア、都内警察署長だったり警備本部本部長だったり、今回の9は神奈川県警の刑事部長、どの話でもその組織の中ではトップ、すごくえらい人(子どもの説明みたいですがw)。

今まで見たり読んだりしてきた刑事もののドラマや小説ではキャリアの上役といえば「悪役」が多いですよね。
自分の出世のことしか考えていないエリート官僚、自分がそこのトップにいる間に不祥事を起こさないことが第一で、現場の刑事の邪魔ばかりする、ほとんどがそんな主人公刑事の敵役ばかり。

その敵役が多い東大卒のキャリアが主人公なんですが、キャラクターが最高です(笑)非常に仕事ができ私利私欲とは無縁、キャリアの中での出世争いにも興味がなく、国家公務員はこうあるべきという信念を持ち、常に正しく事に当る。下はもちろん上にモノ申すのも躊躇なし怖いもの知らずwそれゆえ回りからは変人扱い。そういう人が階級意識が強く上には非常に気をつかい忖度しまくる警察の組織のトップに据えられるわけなので、気をつかいまくる部下たちの空回りや慌てぶりや、会話がいちいち面白いです。吹き出してしまう場面も多い。反対に現場に無理解無知でプライドと態度だけデカいキャリアに反感を持っていた現場の刑事たちには徐々に理解され信頼され尊敬されていく過程、同じキャリアの同期の理解者と徐々に深まっていく友情など、とにかく読みごたえがあります。スカッとする読後感がいつも小気味よいです。でも同時に「こんな人がこういうところのトップに本当にいてくれたらなぁ~いるわけないかぁ~」とむなしく思ったりもしますけど。

めちゃくちゃ面白くておススメのシリーズですが、ストーリーがスピーディーで面白い上に文章も読み易いため数時間で読めてしまうのでいつも図書館で借りています。でも、熱烈なファンが多いから毎回順番待ちはすごいです。文庫になるまでなんて待てない、待っても読みたいシリーズです。

余談ですが、テレビはもちろん、ドラマも今はほとんど見なくなくなりNHKは朝の連ドラでさえ見るのをやめ大河ドラマのみ、民放はただ1つのみ。その1つが主人と長年見続けている人気番組の「相棒」です。水谷豊さん演じる主人公の杉下右京さん、右京さんがあのドラマの中で警察のトップにくるとしたら・・と想像するとこの隠蔽操作シリーズと似た感じになるかも?!笑 

ギョーム・ミュッソの古本も届いていたので先にこちら「夜と少女」を読んでいました。
怒涛の展開のミステリーでした。「親は自分の愛する子どものためならなんでもする。どんなことでも。」感想はこの一言に尽きます・・・けっこうすごいお話でした。

夜と少女