昨日読んだ本です。
10年ほど前の本ですが、妹が最近図書館で借りて読んで面白かったというので
図書館で借りてきました。

握る男

題名と表紙のいくらの絵でお寿司を握る人の話かな?と読み始めたら、
そのとおり、寿司職人の話で小僧として下働きするところから始まりましたが、
人の心をつかみ人の弱みを握ることにかけては天賦の才がある男がその才覚でのし上がっていく話。

主人公(握る男ではない)が自分と同い年の設定で
昭和56年20歳の時から話が始まり、その後バブル期を中心として物語が進み
50歳くらいまでの話だったので、
「あ~あの時はこんなだったなぁ~」と思い出したり、
バブル期の女性客をターゲットにしたこじゃれたレストランの売り込み戦略など、
そうそう、そういう雑誌がたくさん出ていたっけと懐かしく思ったり。

どんどん話が進むので読みやすく、あっという間に読めました。
妹は図書館にせっせと通って1日1冊といってもおおげさではない読み方をする人で、
その妹に「これは面白かったよ」と教えてもらった本を借りてきて読む、というのが長年の定番になっていました。

図書館で気になる本をどんどん借りて、という読み方なので
新刊本やドラマ化や映画化でちょうど話題の本は並ばないと借りられないため
在架している本中心に借りるので数年前の本ばかりになります。
今回も10年前の本ですがいいんです、おもしろければ。
「読むための面白いとわかっている本」が常にある状態というのが大事。
妹とは感性が似ていて面白いと思う本が同じなので、
妹による好みの本の選別、はずれなしで本が読める実にありがたいフィルターです。

でもコロナで図書館にも行かなくなったところへ、私が「あつまれどうぶつの森」にはまり、
あまりにもおもしろいので妹にも教えると、妹も私以上にどっぷりはまってしまい、
コロナ以前のような図書館通い、借り方ではなくなった上に「あつ森」に忙しすぎて
本を読む時間がごっそりなくなってしまっていました。
なのでここ2年ほどは以前のようなハイスピードでの読書習慣はなくなりましたが・・

でもおもしろい本はやっぱり夢中になって、一気読みしてしまいますね。

今回もとても面白い本で満足。

こういう数十年かけて、手も汚しながら成り上がっていくようなストーリーはやはり面白いですね。
こういうタイプのストーリーでは私は有吉佐和子の「悪女について」がすごく好き。

1番好きな作家さんですべての作品を読んでいますが、
明治、大正、昭和と祖母、母、娘の女性3代の話「紀の川」、
花柳界の話「香華」「芝桜」「木瓜の花」、
戦後黒人兵と結婚してアメリカに渡った主人公が、アメリカでの人種差別の中たくましく生きていく「緋色」、などがすごく好きで何度か読み返している作品です。
「悪女について」も戦後すぐの混乱の時代から成り上がっていく話でとても面白い。
同じ戦後すぐの話でも大学時代の友人7人の卒業後からの話「処女連祷」も
私が生まれる前の女友達の人間関係の話なのに、今でも似たような人間模様がいたるところにあるのでは・・と思える内容でとても面白い。

有吉佐和子の小説には「こいつ、どうにかしてくれ!」と読んでいるこちらが
主人公以上にイライラさせられる超絶性格悪い女性が1人、よく出てくるのです。
そのどれも同じような性格、ずる賢さ、しゃら~~っと嘘をつく。
まぁ、そのキャラクターがいるから小説がより面白くなっていることも確かなんですが・・・
有吉さん、知人にモデルいたんではなかろうか(笑)

どれも20代30代で「この時代はこんな感じだったのね~」と時代背景も興味深く読んだものですが、
今はたいていの本が「どの時代も懐かしいわ~」になっちゃいました。