幕末、明治維新から令和になったその時まで・・・堪能しました~~~~
偉人の話でもなんでもない、その時代その時の様々な年代の普通の人々の人生、
普通の人々の人生なので親近感を持って読み進められる、けれど本当は特別な人たちの人生でもあります。特別な血族の1人から始まってその子、孫、ひ孫、親類縁者の人たちの人生。
時に非凡な能力を発揮する人がいたり、時に才能に気づかないまま普通の人として過ごし、時に才能を開花させることなく人生を終わり、でもほとんどがやはり特別な才能などなく、才能ある人でもない人でも同様にその時代、その時の環境に大きく左右される人生。

図書館通いがマメでものすごい読書量の妹に勧められて読んだ本、
貫井徳郎「邯鄲の島遥かなり」
これは本当に面白かったです、おススメです。

邯鄲の島遥かなり
図書館で借りて上中下巻一気読みです

上中下巻で全17話です。
1話につき血族の子孫の1人が主人公。
子孫といっても例えば名家の本家の系譜通りの主が時代ごとの主人公という話ではなく、始まりが1人の男が何人もの女性との間に子をもうけるところからなので最初から血は遠いのです。たどっていけば、第1話の主人公にたどりつく、といった程度の縁者たちが主人公になっていきます。時代が進むにつれ、その特別な血族であるという意識もどんどん薄れていきます。

でも、舞台が離れ小島なので遠い縁戚でも主人公本人は知らないままでもなんらかの繋がりがあったり顔見知りであったりとよくできています。

幕末御一新のころから明治大正あたりまでは本当に隔絶された世界。
でも読み進むうちに昭和になり帆船だけから定期船が就航するようになっていくとその島も遠い離れ小島ではなく、東京都であり、高速船だと東京から4時間という近さであったことがわかっていきます。(架空の島ではありますが)

上中下と読み進み、下巻の半分まで来たところでようやく、私も生まれました(笑)
第15話で、主人公は私より5歳年上です。
主人公が小学生から高校生までの話なので自分も懐かしく思い出すことも多く、だからというわけではありませんが、この第15話はすごく好きです。
特別な血族であるという証があるのですが、その関係のネタバレがこの第15話だけ「おお~~!そういうこと?!」となりました。
でもストーリーが圧巻なのはやはり戦中と戦後復興のところです。この時代は本当にあらゆる意味で特別ですね・・

御一新、新選組、二・二六事件、関東大震災、戦争、戦後復興、巨人大鵬卵焼き、昭和の歌手アイドルブーム、東日本大震災・・

最初から最後までその時代時代の事件や災害、ブームなどが絡むのですが、主人公が島のごく普通の人々なのでちらっとかすめるだけだったり、深くかかわったりは様々です。
早く亡くなる人もいれば長生きの人もいて、話が進むと前の主人公が年を取ってちょっと出てきたり、主人公の会話の中、人づての話に出てきたりもする。

自分はこの時は・・と懐く思ったり、その前の時代は父や母、祖父と祖母、さらに・・連綿と続いてきたわけでその時代その時、ご先祖様は何を感じてどう生きていたのか思いをはせる、とても読み応えのある面白い本でした。