図書館で借りた本です。

警察でも裁判官でもない私たちには「聴く」ことしかできないけれどーー。家裁調査官は「臨床の専門家」として生身の人間を扱い、罪を犯した者たちと向き合うのが職務。少年係調査官として働くかのんは家庭や学校、友人との問題等で荒んだ少年少女たちの“声なき声”に今日も耳を傾ける。更生の可能性を信じてーー。ひたむきな女性調査官が奔走する姿を描く連作短編シリーズ誕生!

内容紹介(出版社より)

「家裁調査官」という仕事については初めて知りました。
少年犯罪を扱うといっても警察、検察、弁護士などとは違い、罪を犯した少年少女のそこに至るまでの事情→家庭環境、親、交友関係等調査し報告を上げる仕事、といった感じです。

短編集で軽微なものから深刻なものまで、罪を犯した少年少女と家裁調査官である30代半ばの主人公の女性の仕事ぶり、そして罪を犯した少年少女たちの実情の物語。未成年の少年少女の犯罪なため、主にその両親と深くかかわることになるわけですが、現代の家庭の問題が詰まっているような短編集です。

子供たちが犯罪に手を染めるまでになってしまう環境なわけなので、良いわけがなく、貧困や虐待など悲惨な環境がほとんどなわけですが、そこへ至るまでの事情を調査し対応策を考えることが仕事である人が主人公ですので、温かな目線と救いのあるお話となっています。

ただ、調査したことを次(警察とか?弁護士とか?)へ引き継いだらそこで仕事は完結。
「丁寧に調査してもらえてよかったね、未来は明るい」と思えるケースもあれば「このまま終わってしまってこの少年はどうなるのだろうか?」「こんなケースの場合現実では引き継ぎのあとはどうなるんだろう」と心配になるケースもあったり・・・

それにしても世の中にはいろんな仕事があるんだなと思いました。
主人公も大学卒業後はホテルに3年勤務したのち転職している設定です。

まだ10代や20代初めでは世の中にどんな仕事がどれだけあるのかもよくわからないままというのが普通かもしれません。知識も経験も社会性もまだまだ不足しているときに選ぶわけですし。最初から自分に向いている仕事につければそれにこしたことはありませんが、途中からでも「これが天職だ!」と思えることが見つかった人は幸せなことですね。

乃南アサさんの本は久しぶりに読みました。
昔は好きでかなりたくさん読んでいました。

「風紋」は読んではどんどん忘れる私でもしっかり覚えています。
犯罪の被害者家族と加害者家族の双方視点からの物語ですごく読み応えがあって面白かったです。古い本なので図書館ですぐに借りられると思います。