たまたまですが、桐野夏生の小説をブックオフで選んだら
30代40代専業主婦が主人公のお話でしたので、昔読んだ50代主婦のお話も一緒に買って、30代40代50代と専業主婦が主人公のドロドロ系のお話を一気読みしました。
さすが桐野夏生、専業主婦が主人公なのにどれも衝撃的(^^;
面白いし文章がとても読み易いのでこちら4冊を1日で読んでしまいました。主人が出張中で1人だと家の中でテレビがついている時間がないのでリビングでずーっと本を読んでいられます。
【ハピネス】30代
タワマンに暮らす幼稚園入園間近の3歳の子を持つ30代ママたちの人間関係とお互いの心情を描いたお話、ですからすごかったです(^^;
同じタワマン住まいでも賃貸と分譲での格落ち感とか、さらにはタワマンでもない駅前マンションのママ友とか・・・ごく普通の育ちの主人公ママが周りのセレブママたちと同レベルになりたい、見られたい見栄と欲求剥きだしの貪欲な内面と、羨むママたちと同等の上品さを必死で演じつつも劣等感の塊で気後れする現実。読んでいるだけで疲れる(^^; こんな人間関係ごめんだわと思う人がほとんどでしょうけれど、だからこそ覗いてみたくて小説となると面白いんだと思います。
ちなみにこの続きの「ロンリネス」を先に読みまして、そちらは幼稚園ママたちの不倫三昧のすごいお話で辟易し個人的には面白く読めなかったのですが、同じドロドロでもハピネスは面白かったです。
【だから荒野】40代
冒頭から40代主婦の主人公がかわいそう。
そのあとの行動が現実にはなかなかできないことばかりだし、家族関係も小説だから誇張された表現ではあるけれど、誰しも少なからず共感できるところもあるようなお話。
40代って女性にとっては自分が若さを失いつつあり、世間からも家族からもぞんざいに扱われることにショックを受け始める時期でもあるかもしれませんね(^^; そこを超えると一気に楽になるんですよね、とっくに超えて60代ともなると余裕になりますね(笑)
【魂萌え】50代
この本は刊行されたとき読みました。
なので読んだ時は40代でした。
「ハピネス」と「だから荒野」を選んだ時どちらもいつもの桐野夏生の衝撃度の高いタイプのお話ではなく、30代と40代の専業主婦が主人公のお話だったので「そういえば、この魂萌えは今の私くらいの専業主婦が主人公だったよね?」と思い出して一緒に買って再読しました。
覚えていたのは夫が63歳で急逝し、世間知らずで生きて来た還暦間近の専業主婦が行動も精神面でも右往左往するお話だった、ということ。
おおまかには覚えていた通りでしたが、ほぼ同年代として読み返してみると昔読んだ時に感じた主人公の優柔不断さ、そこまで理解できなかった不安感などをかなり身近に感じました。40代ではわからなかった「自分の人生は残り少なく、その残りは体力気力ともにひたすら衰えて行くだけなのだ」ということ。
30代40代50代の主婦の心模様と人間関係をとても面白く読みました。
ぜひ60代主婦が主人公のお話も書いてもらいたいなと思います。