そんな想像ができるほどドラマチックな若い日があった人、どのくらいいるんでしょうか。
さて自分は・・・と思っても「ない」ので想像もできません(^^;
図書館で借りた本です。
内館牧子「今度生まれたら」
主人公は70歳の専業主婦。70歳を「もう2度とやり直しのきかない年齢だ」ととらえ、
進学、仕事、結婚、すべて当時の風潮では「女性にとっては安泰な道」とされてきた道をうまく世渡りし選んできたけれど、その先の長い人生、そううまくいくことばかりではなく・・・今までの人生の分岐点を「今度生まれたら」どうしたいかという視点で振り返る、そんなお話です。
進学、結婚に関しては
主人公は昭和22年生まれ、36年生まれの私とはちょっと時代がずれるので、主人公の置かれていた結婚や仕事に関しての状況は何もかも同じ、という感じはありませんでしたが、それでも「いや、ほんと、こんなだったよね~」と笑えるところも満載でした。(寿退社する女性社員は出社最終日着物で挨拶とか・・・私は自分はもちろん立ち会った経験もないですが、すごい光景ですよね(^^;)
※男女雇用機会均等法は1985年制定、1986年施行、私は1961年生まれですから主人公たちに続く後ろも後ろ、最後列に立っていた感じでしょうか。
進学⇒国立大学一期校に受かるほどの学力があり、担任や親からは一流大学での勉強、その先に続くであろう仕事、経済的自立を期待されるも、当時学歴の高い女性は男性にモテない、婚期が遠のく、との理由で本人にその気はなし。男性受けしそうなミッション系女子短大へ進学。
結婚⇒就職は社内の男性の有望株との結婚目的。当時の男性が理想とする(バカで可愛い)女性を演じるべく、猫の皮を100枚ほどもかぶりまくる。誠実で趣味が同じ男性でもエリートでなければ眼中になく無事ターゲットのエリートと結婚。恋愛同様に人間関係はすべて忖度しまくる、そつなく無難にやり過ごす技量大いに有り。でも本音は、、、口には決して出さずに生きてきて70歳。
子供にも恵まれ、都内に家も持ち、幸せな人生を歩んできてはいるけれど・・・
そんな時代の中にあっても、男性と並んで高い学力をつけ、難しい資格を取り、一生できる仕事を得て世に名前も知られまだ現役で活躍している同年代女性を見て、焦燥感にかられてもがく主人公のあれやこれや、夫や姉夫婦、息子家族も含めてのそれぞれの人生、山あり谷ありのストーリー。面白かったです。
人生の大事な分岐点、結婚でも仕事でも何十年もあとに「あっちの道を選んでいたら!」と思い返せるということは、
「すごい道だったかもしれない」と悔しく思えるほどのもう1つの選択肢があったということ。
主人公同様に将来大きな仕事につながるような特技があったのに、女性だからという理由だけで全く生かさなかった人や、大成功した男性に好意を寄せられていたとか、そんな過去があれば「やり直しのきかない年齢」になったときに「あの時、、、」とつい想像してしまうのかもしれませんね。
私は主人と結婚する時、ぜひ私と!と未来の大富豪からもプロポーズされていたなんてことはなく(ちょうど今見てる朝の連ドラ「らんまん」のおすえちゃんはこの状況そのまま、叔母から金の橋をかけてやったのに泥船に乗り込んだ、なんて言われていましたね笑)主人しかプロポーズしてくれなかったわよ、一択よ、運命の分岐点なし(^^;
仕事も定年まで勤めることもなく、産後復帰はしたものの結局途中で辞めてしまいましたが、あの時辞めずに続けていたら人生かなり変わったかというと、そんなことはなかったと思います。
「あの時あちらを選んでいたら!」とつい思ってしまうような大きな分岐点はなかった・・なので主人公の気持ちになっての想像はできないです、平凡です。
が、何もない日常が1番だとも思っています。本の姉夫婦のようなことになったらと思うと、いやいや、平凡でいいわ、このままずっと普通の日常で終わって欲しいわと思いつつ読み終わりました。