鎮痛剤で痛みを抑えている状態でも面白くて夢中で一気読みできた本です。

自由研究には向かない殺人 ホリー・ジャクソン

自由研究には向かない殺人

Amazonなどでおススメのミステリーを探していると売れている本とか話題の本とかなんとかランキング1位の本とか〇〇賞受賞の本とかたくさん出てきます。
タイトルとか表紙絵とかも惹かれるものがあると内容の紹介文を読んで、そこで話の系統が好みかな?と思えたらそのまま買ったりブックオフで中古で買ったりします。

この本は何度も出てきていたけれど、紹介の冒頭が「高校生のピップは自由研究で自分の町で起きた17歳の少女の失踪事件を調べている・・・」で、要は「高校生の女の子が殺人事件の真相に迫る謎解きミステリ」だったので避けてきた本でした。

まだ未成年の子供が殺人事件の真相に迫る、という類の話が好きではないからです。
警察どころか、まだ大人でもなくなんの権限もなし、そういう中高生が危険極まりない殺人という事件に首を突っ込んで事件渦中の関係者たちにあれこれ聞きまわったり、聞かれたほうも、時には危険人物とされる人までが子ども相手にペラペラしゃべる不自然さがしらけるし、時には他人の家に忍び込んだり重要証拠を探したり(警察でも見つからなかったような)といった非現実的過ぎる設定、荒唐無稽さが好きではないんです。

アニメの江戸川コナンならいいけど、ミステリー小説でそういうのはいいかな、というのが正直なところ。

でも、出かけて本屋に並んでいる中から選んで買ったとき、目立つところに平積みしてあったのでついつい他の本と一緒に買ってしまいました。

で、読んでみたらこれがかなり傑作でストーリーもミステリーとしても面白かったし、主人公の人物設定や魅力的な相棒の男の子、家族や周りとの関係が清々しく温かく明るく、気持ちよくテンポ良く読めました。この本、児童文学の賞カーネギー賞にもノミネートされているんですね。だから対象はティーンエイジャーなのでしょう。でも還暦のおばさんでも楽しめました。

私が嫌いな「子どもなのにやたらと事件に首突っ込める設定」というのも、なるほどね、今の時代はこうやって素人でも子どもでもいろんなことを知ることができるのね~と納得。
主人公のピッパはフェイスブックから投稿コメントや写真を入手、交友関係、SNSから情報収集、追跡はアプリやグーグルマップ、ストリートビュー。スマホ操作も高校生なら速いしいろんな機能を使いこなしているのは当たり前でしょうし。すべてPCで作業、すべてネットで調べる。情報自由法に基づく警察への情報開示請求を行って事情聴取の記録を請求したり。一般人でも手にできる情報はネットとメールでどんどん取り入れる。こうなるとむしろ大人でもジジババが主人公より現実的。それと、これはイギリスの話ですがイギリスとかアメリカの小さな町が舞台だと高校生でもみんな自分の車を持っていてどこへ行くにも自分の車なんですよね。日本の高校生とは機動力が全く違いますね。

お酒やドラッグ有りのホームパーティーが高校生でもめずらしくもなんともなく同級生の家で開催されているというのも日本とはかなり違うと思います。日本だってあるかもしれませんが、高校生が何十人も集まってお酒飲んで乱痴気騒ぎできるような家、日本だったら大豪邸になっちゃいますもんね。夫婦でパーティーに出かけていない両親、子どもは子どもでそういうパーティーを好きに開催できる、行きたいと思えばいつも行っている子に声をかければとりあえず参加だけはできる、なんて設定日本じゃちょっとムリだと思うw

私の思っていたような子どもなのにそんなのあり~?って感じで事件に関わることができて、それで事件が解決するといった話ではなく、とても面白かったのでおススメです。
続編が出ているのでそれも読むつもりです。

ただ1点どうしても気になったことが・・・・

犯人のネタバレではありませんが、後のほうでわかることについてなのでこれから読まれる方は以下は読まれませんよう。

ひき逃げについて。
え??!!!このままみんなで黙ってるってことでいいの???!!!
被害者の男性、半身不随で車椅子なんですよ??!!!
どこの誰か知らない人だって、彼にだってこの後の人生、家族や大事な人はあると思うんですが・・・
みなさん、倫理観大丈夫????
まだ10代の高校生の時にこんな罪をおかしてしまうって、見てただけにしても加担したことは事実、放置したってだけで一生忘れられない罪悪感に苛まれてそのうち精神崩壊しそうだわ。

と私はすごく気になったのに大量に入っているレビューでそんなことに触れている人はいない・・・1人くらいいてもよさそうなものなのに。ひき逃げってものすごい罪だと思うんですが・・・気になるわ~~~