家族の歪んだ関係、心の闇系統のお話、主に母親と娘の関係性が中心です。2つとも妹から借りた本です。

どちらも凄まじいお話でした。それだけにページをめくる手が止まらず一気読み、読み応えあってとても面白かったんですが、疲れました(^^;

川上未映子「黄色い家」

2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!

内容紹介(「BOOK」データベースより)

主人公の少女は頭も悪くなく働き者、働く意欲も充分にあるのにここまで悪い方へとばかり転がっていくか、、、というくらいに壮絶な人生。出だしで躓く、というよりも生れ落ちる環境で、子どもが1人で考えるにはどうにもならないことで。虐待するような母親ではなくとも、愛情はあってもどうしようもない無知ゆえに。でも、一緒に暮らし同じ犯罪に手を染めていく少女は裕福な家に生まれ育っても結局同じ。こちらも母親との関係性から。この裕福な少女が自分の母親の俗悪さを延々語る場面は圧巻。母親なら誰しもが少しは持っていそうな見栄や子どもにかけがちな期待や感情的になりがちなことなど、悪いところばかりすべて集めて凝縮させたらこうなる、みたいな、、、

遠田潤子「イオカステの揺籃」

バラが咲き乱れる家で、新進気鋭の建築家・青川英樹は育った。「バラ夫人」と呼ばれる美しい母。ダムと蕎麦が好きな仕事人間の父。母に反発して自由に生きる妹。英樹の実家はごく普通の家族のはずだった。だが、妻が妊娠して生まれてくる子が「男の子」だとわかった途端、母が壊れはじめた……。

内容紹介(出版社より)

「バラ夫人」と呼ばれる美しく上品な母の、その母親が凄まじすぎ💦

常識的で上品な母親からたっぷりの愛情をもらいながら育った息子、がゆえに善人でも鈍感で、そんな息子の嫁が母親大好きな夫と姑との関係で悩むお話かと思いきや、途中からその姑の立場の母親の生い立ちのお話で、母の母が常軌を逸した母親でひたすら凄まじい。「母と息子」より「母と娘」メインでしたか。母と娘の歪な関係性、母の娘への嫉妬心、母の娘への抑圧支配、無力な子どもへの感情のままの八つ当たり、捌け口としての私物化、、、母親も人間であるからには少しは持っていそうな黒い感情を全部集めてぎゅっと凝縮させたらこうなる、みたいな、、、この母親の生い立ちが知りたいと思ってしまう、ホラーじゃないのにとても怖い小説。

どちらも筆力のある作家さんで、面白くて1日1冊、一気に読みました。でも内容が内容だけに読み終わったらドッと疲れました( ;∀;) 2日も続けて一気読みするからですが💦

小説の題材として歪んだ親子関係がテーマの場合、「母親と息子」だと母親の過剰なまでの愛情、マザコンの息子、といった展開が多いけれど、「母親と娘」となると母親の抑圧支配、嫉妬、無関心、愛憎に苦しむ娘、といった展開が多くて全然違う。小説として怖いのは「母と娘」のほうですね( ;∀;)