「宙ごはん」は母と娘の関係性が終盤に向けて修復されて行く様子が心温まるお話で読後感はとても良かったですが、その前に立て続けに観た2本の映画は同じような母と子の関係のお話でしたがこちらは2つとも逆、とても重かったです。

湊かなえさんの「母性」と椰月美智子さんの「明日の食卓」です。
どちらも小説としてのジャンルがミステリー、それも心理サスペンス系統のミステリーだし、湊かなえさんの小説は読後感があまりよくなくイヤミスと言われるものもあるので、登場人物の造形が極端に強調されていることもありますけど。

小説を読んだのはだいぶ前で話も忘れているし、映像化されたものに興味を持ってNetflixで観ました。

「母性」はもの静かでおしとやかな母の支配がとにかく怖いわ💦
そしてそんな母の愛を求め続ける娘がいじらしく切ない。
戸田恵梨香さん、演技すごく上手。
私と妹は子供時代からずっとヒステリックで感情的な母がすごく苦手でしたが、こういう小説を読んだり映像で見せつけられると「うちの母は分かりやすくてよかったわ」「裏表は全くない人だしなぁ~」なんて思ってしまいましたよ(^^; 

「明日の食卓」は、「特異な母親」や「毒親」などとは違う、むしろ真逆。「とても普通でがんばっているお母さん」「子供を大切に愛情を持って育てているお母さん」たちと息子とのお話。

湊かなえさんの原作のほうはまだ、イヤミス、心理サスペンスとして誇張されたお話として観ましたが、「明日の食卓」は3つの家庭のそれぞれの子育てが、普通にありそうでリアル。現実にもありそうなちょっとした対応の間違いが少しずつ積み重なって子供の心を圧迫していき、母親たちは自分の何がどう悪かったのかわからないままに子供との関係が狂っていくお話でした。

子育てに加え仕事と家事に大忙しなのに夫は協力的でないとか、裕福でも夫と義母に気を遣う毎日だったり、シングルマザーでこれ以上頑張れないほどに頑張っても現実的な金銭的な問題など・・・

母親といえども万能ではなし、人間だから精神的にも身体的にも参ったり疲れたりするし、これはキツイわ~と観ていてしんどい。

ラストは希望の見える終わり方でしたが、尾野真千子さん演じる専業主婦で金銭的には1番恵まれていると思える家庭に関してはここまでのことになってしまったらどう修復するんだろうか?と思ってしまいました。親としては絶望してしまいそうなことですわ( ;∀;)

自分も子育てをしてきて、子育てからは完全に手が離れて長いけれど、母と子供の関係性を描いたものって興味が向くので読んだり観たりしてしまいます。
自分の子育てを思い返せば「あの時こうしていたら」「ああもできたのではないか?」と後悔することの多いことよ・・・

何が1番悔いが残っているかといえば「あんなにせかせかとしなくてよかったのに」ということ。終わってみれば子育て期間なんて人生の長さを思えばあっという間。あの可愛い時代、至福の時代をもっとゆったりした気持ちで子供と一緒に楽しめばよかった、これです。

子育てと家事と仕事と、と慌ただしい毎日の中ではどうしても「あれもしないと、これも・・」と思ってしまいましたが、今となれば「そんなの後でいいから」「そんなことしなくても大丈夫」と当時の自分に言いたいです。でも、当時の自分にそう言えたとしても忙しい毎日の渦中にある当時の自分は言われたことがピンとこず、同じことをしたんだと思いますけど・・・