タイトルのような人生、心に鬱屈を抱えて生きる人生、そういう人格を作った生い立ち・・
それが自分の人生だったり自分がそういうキャラクターであると想像すると誰もがそういうのは遠慮したいと思うのでは・・・波乱万丈についてはそれを夢見る人もいるかもですが、それはあくまでも最終的には良いほうへ転ぶ大逆転劇みたいな波乱万丈でしょう。

でもこれが物語だとものすごく面白い!どんどん読み進める本となりますね(*^^)v

ということですごく面白かったです。塩田武士さんの「朱色の化身」
妹がブックオフで買って「とても面白かった!」と持ってきてくれた本のうち1冊です。

朱色の化身

主人公の女性珠緒が1963年生まれなので私と同年代です。
珠緒の生まれた時から2020年までの話なので昭和のあの時代、平成のあの時、令和になって・・・場面場面が想像し易く(想像というか自分の時のことを思い出す感じです)そこも読み易く懐かしく読めました。

ミステリーなんですが、ミステリー要素より「珠緒という1人の女性の人生を他人の口で語る」ことで徐々にわかっていく彼女の生い立ち、超エリート女性の葛藤、二面性、心の闇などなど、そちらのほうに引き込まれました。本人はずーーーーっと出てこず、珠緒を知る人、関わった人たちからの取材形式で進むストーリーです。

珠緒の祖母、母を知る人たちからの取材で祖母と母の人生、珠緒の生まれを紐解いていく、友人知人、教師、学生時代のサークル仲間や職場の同僚、元夫、と取材した人たちから語られることからわかっていく過程がすごく面白かったです。

いろいろな立場と視点で、それぞれ違う関係や利害で関わりのあった他人から語られる話から1人の人の人格人生を肉付けしていって想像する、という手法がそもそもとても面白く読めるものですし、こういうタイプの話は個人的にすごく好きなので余計に面白く読めました。

もし自分が生まれた時から今までを、人生の中でかかわってきた様々な人からランダムに選ばれて語られるとしたら、私はいったいどういう人格人生になるだろうか??あまりにも平凡過ぎて他人が読んで面白いお話には全くならないですね!( ;∀;)平凡な人生に満足していますからそれでいいです。波乱万丈な人生はいいですわ、特に還暦過ぎた今、このまま何事もなく平凡に過ぎ去ることが望みです。

波乱万丈でも、悪い方へ転んでしまった典型的な例の1つ。ホームレスの人たちの問題を中心としたこちらも面白かったです。これは図書館で借りた本です。

読んでいる間中、最後までどうなるんだろうかとハラハラドキドキしながら彼らを応援して読みました。