妹が面白かった、先が気になり過ぎて一気読みした、酷いけれど自分も当事者になったら言ってっしまうかと思ったところもあったと言いつつ貸してくれた本です。

朝比奈あすか「翼の翼

専業主婦、有泉円佳の息子、翼は、小学二年生。興味本位で進学塾の全国テストを受け、中学受験に挑戦することになる。最大手の進学塾「エイチ」に入った翼は、男子四天王といわれる難関校を狙う。中高一貫校を受験した経験のある夫真治と、それを導いた義父母。中学受験にまったく縁のなかった円佳が、塾に、ライバルに、保護者たちに振り回され、世間の噂に、家族に、そして自分自身のプライドに絡め取られていくー。過熱する親の心情を余すところなく描いた、凄まじき家族小説。

内容紹介(「BOOK」データベースより)

私も読み始めたら一気読みでした。
中学受験のお話。それだけで親子の壮絶なお話が展開されるのだろうと読む前から想像つきましたが、感想は妹と同じく。親なら1つ2つは同じようなことを子供にしてしまったという経験、心情はわかるところもあるかと、、、中学受験に限らずだと思いました。勉強でもお稽古事でも。子供が本人自ら興味を持って楽しくできる範囲を超えて親が口出し手出ししてしまう、過度の期待をしてしまう、見栄のからんだ親の希望へと誘導してしまう。言い訳というか思い込みは「子供の将来にとって良かれと思ってしていること」

子供が学力優秀で頂点のほうにいることを数値化して見せられたら親としては無条件に嬉しいし、多少なりとも期待してしまうのはどんな親でもでしょう。

親の希望へ子供をさりげなく誘導する、受験に限らずお稽古事でもなんでも小学生だとどこの親も多少なりとも経験はあるはずと思います。

子供には子供なりのプライドもあるのに、つい言い過ぎてしまうこと、どこの家庭でも程度の差はあるでしょうが、ありがちなことかと思います。

ありがちなことばかりではあっても、普通は単発で終わるはず。ところが中学受験となると何年にも渡って日々ひたすら過熱していくばかり、負のスパイラル、、、

度を越していく過程は凄まじいばかり。小説ですから誇張されて描かれているにしても、中学受験は偏差値や順位など数値化されて分かり易く回りの子供と比べ易いし、現実にも小説のように過熱していく家庭はありそう。

子供は無条件に親のことが好き。親に褒められたい、親に喜んでもらいたい、そういう子供の思いのいじらしさ、健気さに胸が痛くなりながら読みました。子供は親が思っているよりずっと親の気持ちに敏感で親の心を読みますものね。親が気付いて行く過程は救いですし、読後感は悪くないので良かったですが。

中学受験なので8歳から12歳までのお話ですが、人生始まったばかりのまだほんの子供の時期。その先がう~~んと長いわけですから、そこで多少の失敗や挫折があったってなにも気にすることはない、むしろあっという間に過ぎてしまう大事な子供時代は楽しくのびのび過ごしてもらいたいなんて呑気なこと思えるのは還暦過ぎた身であればこそでしょうか。そこでジジババがしゃしゃり出てそんなアドバイスしたら、小説でも円佳の母親が心配してたびたびするアドバイスもすべてうざがられ無視されていましたし、現実でも渦中の若い親は「今の現実を何もわかっていない」となるんでしょうか。円佳の母の立場で読みましたよ(^^;

先が見えて来た身になったからこそ、あんなに気にすることなかった、好きなことを優先でやればよかった、あんなことに拘ることなかったと、目の覚める思いでわかったことも多いんですけど、難しいですね。

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