「天上の虹」は持統天皇の一生の物語でしたが、続編は持統天皇の死後の皇室の後継者問題と藤原氏を中心とした権力争いについての物語2つです。(「天上の虹」についてのブログ記事 30年後に読了

1つ目が「長屋王残照記」全3巻
2つ目が「女帝の手記」全5巻

今、AmazonのKindle Unlimitedでこれが全部無料で読めます。

長屋王
孝謙天皇


「天上の虹」を昔読んだ分まで含めて一気に読み終わったばかりでしたから、天智天皇、天武天皇の子孫、誰が誰の息子か娘か、藤原一族の関係性等も頭の中にしっかり入っている状態で読めました(笑)

全ての関係性が頭に入っているうちに、と、そしてもっと大事なこと、Unlimitedで無料のうちにと8冊分、一気読みしました。
マンガ三昧、少女マンガを読みふける61歳( ;∀;)
でも「天上の虹」もそうでしたが、作者の里中満智子先生の歴史への深い造詣と解釈、豊かで柔軟、突出した想像力で少女マンガを超えた漫画となっていると思います。少女だけがターゲットじゃ惜しいわ(笑)

歴史ものは結末がわかっているだけに、そして「良い人(と伝わっている)」「好感のもてる人物」が悲劇的な最期であったりもするし、それを現代の自分は知っている。わかっているだけに読み進むのがツライということも多々ありますね。「天上の虹」では大津の皇子がそうでした。

「長屋王残照記」は大津の皇子ほどではありませんでしたが、結末は知っていただけに、清廉誠実に描かれていただけに、結末がツライ💦藤原四兄弟憎し!

「女帝の手記」は、幼少から話が始まるので「阿部皇女」・・・誰?でしたけど、のちの「孝謙天皇」孝謙天皇とくれば道鏡、「これはまたすごい愛憎劇か…」(テーマがなことが多い里中満智子先生ですもんね)と思ったらそうでしたw

孝謙天皇、寵愛する道鏡に最高権力を与え二頭体制で権力をふるった女帝、といったイメージでしたが・・・・

イメージ通りに描かれていました(笑)

でも、道鏡は純粋で自分からは何も望まない、孝謙天皇にひたすら愛された人として描かれていました。道鏡といえば皇族でも貴族でもなく僧でありながら孝謙天皇を利用して最高権力者にまで上り詰めた悪人のイメージで語られることも多いようにも思っていましたが、「女帝の手記」ではとても良い人。藤原仲麻呂のほうが孝謙天皇の寵愛を利用して思うがままに権力と富を手に入れていく抜け目ない憎たらしい悪人として描かれていました。

孝謙天皇は、仲麻呂にしても道鏡にしても盲愛っぷりが凄まじく、「この人に愛されるためなら!」と自分の持つ権力を最大限に使って言われるがままに地位だの権限だの富を与えまくり。少女の頃から晩年まで一貫して自分が依存する男性の言うなり(ある意味ぶれないwぶれない人が権力乱用すると大変ですね)、愚か過ぎて哀しい描かれ方ですが(まぁ、少女マンガのお話ですが)なぜそうなってしまったのか、孤独、諦め、不安、嫉妬…心情が細かく描かれていてよくわかるストーリー展開でさすが、とても面白かったです。