昭和初期の東京、句会に集う人たちの物語です。
昭和7年から8年までの2年間、巡る季節と俳句を中心とした短編5話の連作です。

三田完「俳風三麗花」
例のごとく図書館通いの妹が借りた本で「これはおススメ!」とのことで読みました。

俳風三麗花

私は俳句の知識は皆無、縁のない世界です。
中学の時も高校の時も、現国の時間の「俳句」作りには非常に苦しめられたクチです。どう頭を捻ってもできませんでした。興味もなかったし。

そんな私でも、この本はとても面白かったです。読み易く、登場人物たちの作る、その時々の想いや迷いや人生を込めた俳句やその解説にもとても興味を持って楽しく読めました。妹に勧められなければ「俳句のことは知らないし、興味もないしなぁ~」と決して読まなかった本だったと思います。

学校も授業でこういう本を副読本として取り入れればいいのに。当時の私でもこういう本なら楽しく読んだと思うし、俳句というものに興味を持ったかもしれないのに、当時俳句に興味持てなかったのは退屈な教科書と催眠術師としては優秀と思える先生のせいだわ、なんてことまで思いながら読みました。

句会参加者は男女合わせて8人。うち3人が22歳の若い女性。
大学教授の父を亡くしたばかりで母と日本橋の家で暮すちゑ、震災で両親を亡くし新宿で叔母と暮らす女子医専の学生壽子、浅草芸者の松太郎の女性3人の視点からの物語。

当時の東京の様子、人々の暮らしぶり、2年の間の事件や出来事、日本の情勢が、境遇の違う女性3人の暮らしと思いから自然と浮かぶのがとても不思議。昭和7年はまだ私の母でさえ生まれる前。還暦を過ぎた私の祖母が主人公の3人の女性と同年代、そんな時代であるのになんとも不思議です。

祖母もこんな感じで暮していたのかなぁ~・・なんて思いながら読みました。

同じ日本、祖母の時代、女性たちがとても大人っぽくない?
大人っぽいというのもおかしな言い方かもしれませんが・・・とてもしっかりしていて地に足のついた生活というか、考え方、物の言い方から他人への配慮、とにかく言動が違う。今とw

今の小説で22歳の女性が登場したらどんな風に描かれていることが多い?
リアルでも昭和36年生まれの私の22歳のころ(時はバブルw)って・・・いや~~なんなのあれ( ;∀;)

素敵な小説です。おススメです。
俳句、歌舞伎、落語がお好きな方には特におススメします。