昨日は観始めた動画を延々見てしまいました。ただ町の風景を紹介するだけの動画だったんですが、、、読んでいた本の舞台の雰囲気を知りたかっただけなのに延々と関係ない街のものまで見てしまいました。ほんと、スマホの動画ってキリがなくなる(^^;
ネットや動画で見聞きするだけでなく、今は実際行くのも行先の情報も簡単に手に入るしで昔に比べたら簡単。昭和36年生まれ、普通のサラリーマン家庭で育った私の場合、子供のころはもちろん大人になってもなお海外はそこまで気軽に行けるものではなかったから雲泥の差といった感があります。
昭和の時代はあまり馴染のない国へ行くのはかなり「冒険」といった感じだったけど。そういうところはまず情報を得るのが大変でした。
昔の職業柄、たくさんの外国を訪れた経験のある方だとは思っていますが、訪れたことのない国のほうが圧倒的に多い。
でも、子どもの頃からTVで海外の街並みや文化、食、ファッション等の紹介番組等はたくさんあったし、本や雑誌でも海外の紹介記事は山のようにあり、そういう番組を観るのも記事を読むのも好きでした。
その地に住んだ経験はなくとも、仕事で何度も行ったとか、有名な観光地や独特な風景や文化などを映像で観たり記事で読んだりして「この国はだいたいこんな感じ」というイメージで知っているような感覚になっている国というのはたくさんあります。
でもその逆に、超有名な観光地があっても、誰もが知っている有名な歴史的事実(事件)があってもほとんど何もわからない、私にとっては未知の国もたくさんあり、その中でも中近東やアフリカなどとは違い同じアジアの括りで身近そうなのに未知の国であるのが「カンボジア」です。
カンボジアで真っ先に思い浮かぶのが
ポル・ポト政権支配下での大虐殺
そして
世界遺産、アンコールワット
ものすごく印象強く、私の場合カンボジアといえばこの2つ。でも、この2つ以外は?となるとほとんど知らない国です。
写真や映像で観るアンコールワットは神秘的で非常に美しく魅力的ですが、ポル・ポト政権下の大虐殺は1975年~1979年。自分も10代半ばから後半で同じ時代を生きていたことで「歴史の教科書で知ったこと」ではなく「リアルタイムでの事件」
4年にも満たない、歴史的に見ればほんのわずかな年月なのにカンボジアの人口の4分の1が犠牲になるという凄まじさで「ポル・ポト政権の大虐殺」は知っていても、その後カンボジアという国が身近になることはなく、行く機会もなく私にとっては未知の国のままです。
そんなカンボジアが舞台のミステリー小説を読みました。
時間軸はポル・ポト政権下の1970年代、大虐殺を生き延び難民としてオーストリアに渡った1980年代~90年代、そして主人公が50歳となった現代の2016年。
語りの視点は貧しい漁師の家の子ども、かつての宗主国フランス人の血を半分引く父を持つ富裕層の子ども、難民の子どもを家族として受け入れるオーストリアの家庭の母娘。
複数の時間軸と視点が交互になって語られて行くストーリーです。
ものすごく読み応えがある、とにかく引き込まれる小説でおススメです。
ミステリーとしては最後の最後で「え⁈そっちだったの⁈そういうこと‼」と充分驚かされる展開なんですが、読み始めたとたん、最後の最後までミステリーであるということを忘れます。ミステリー要素などなくてもヒューマン小説として夢中になって読み進められる本でした。この作者の他の本もぜひ読みたいです。
ユーディト・W・タシュラー「誕生日パーティー」
謎めく敵意。食い違う過去。彼女は何を知っている?
オーストリアの田舎に暮らす、カンボジア移民のキム。その誕生日の祝いの席に突然現れた女性は、少年の頃にポル・ポト政権下のカンボジアを共に逃れた妹のような存在であり、同時にキムが最も会いたくない人物だった……。
かつての過酷な日々に、いったい何が起こったのか?『国語教師』でドイツ推理作家協会賞を受賞した著者による、最新文芸長編。
内容紹介(出版社より)